こんにちは。ハタケトを立ち上げた、TUMMY株式会社のあべなるみと申します。少しでも興味をもってこのページの覗いてくださり、本当にありがとうございます。
ハタケトの紹介に変えまして、なぜこのメディアを立ち上げるに至ったのか、少しばかり長くなりますがその思いをお話させてください。

「畑の魅力はすでにある」

私が幼少期を過ごした山口県は、車で走れば「畑」が見つけられる場所。しかし、私の父は公務員。母方の実家は兼業農家だったとはいえ、それほど身近に「畑」を感じることのない幼少期を過ごしてきました。高校で進路選択を考えた時、「自分が食べているものがどこから来ているのか知りたい」というちょっとした関心から、大学は農学部の経済系の学科に進学。そこで初めて「畑」の現場に触れるようになっていきました。
大きくなってから通うようになった「畑」は、「驚き」と「なぜ?」の連続がある場所でした。土を踏む体験の気持ち良さにまず驚き、スーパーでは見たことのない個性的な品種、形の農産物があることにも驚きました。
好んで通わせていただいていた滋賀県の直売所「愛菜館」では、11月に収穫祭というイベントを開催しています。そのコンテンツの一つとして、空いている畑で「長靴投げ大会」というものをします。

長靴投げ大会の時の写真

(長靴投げ大会の時の写真。当時大学生の私は畑だろうがおしゃれなシャツとスカートを履いていくツワモノ。。)

何もない畑でただ一足の長靴を投げる。それだけなのに、集まった老若男女が世代を超えてみんな笑顔になっていました。なぜ?
出会ったあるいちじく農家は自分で苗植え、手入れのタイミングを全部自分で判断しているにも関わらず「自然のおかげで作らせてもらっている」と言う。社会にはもっと「俺がやった」「私がやった」という人が溢れているのに。なぜ?

世の中的に言われていて、私自身も少なからず持っていた農業のイメージは「肉体労働」「儲からない」「高齢化」…となんだかマイナスものばかり。
しかし現場にいって私が触れていきた「畑」は、その環境からとりまく人の人柄まで、簡単には理解できないけど、直感的に”惹かれる”魅力に溢れていました。

「畑の魅力はすでにある。それを伝えられる人になりたい。」
そんな目標を抱き、まずは発信する力を身につけようと卒業後は総合広告代理店の博報堂に入社しました。

TUMMY株式会社とハタケト

博報堂、そして女性のキャリア支援を行うスタートアップSHE株式会社での修行をへて、今年1月に「食と暮らしのブランディングカンパニー」を標榜するTUMMY株式会社を起業しました。まさに、大学時代に目標に掲げた「すでにある、埋もれている魅力を発掘・発信していく」ことを目的とした会社です。

「ブランディングカンパニー」という言葉を使っているのは、「埋もれた魅力を掘り起こした先に新しい”資産”を生み出す」という決意があるから。単に発信して終わりにするのではなく、それがその魅力の所有者の持続的な利益になって初めて活動に意味があると思っています。ブランドストラテジストとして、資産を生み出すための仕組み・ブランド開発を、所有者のパートナーとなり、日々一緒に頭を絞っています。
起業して11ヶ月、ありがたくもいただいたご縁やお仕事に一つ一つ向き合う日々を過ごしています。とても充実しているし、本当にやりがいを感じています。
一方で、個別のご相談をちゃんと資産に変えていくのは時間もかかるプロセスです。もちろんこの働き方のスタイルを変えるつもりはありませんが、もっとコンスタントに畑と接点のない方に「畑の魅力」を届けることはできないか。そういう思いも持つようになりました。また、個別の畑の魅力の発信はもちろん、「畑全体に通じる魅力」もあって、その発信にも務めたいという思い。それらがあいまって立ち上げたのが「ハタケト」です。

ハタケトが大事にしていること

ハタケトは「畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア」をコンセプトとしたメディア。全体を通じて「豊かな暮らしのあり方」「生きる選択肢の提示」をテーマとしています。

ハタケトとは 畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア

様々な農園を周り、いろんな畑と共に生きる方々に出会う中で「畑と共に生きている人は、スタイルは様々あれど、なんだか豊かそうな人たちが多い。」という気づきを持つようになりました。しかし、それがなぜなのか、正直私自身も全貌はつかめていません。

だからこそ、畑の魅力に惹かれ豊かに生きている諸先輩方の人間性や暮らしを見つめることで、その引力の正体を知りたいと思っています。

ハタケトを通じて、何か「こうあるべき」という暮らし方の「正解」を提示したいという意図はまったくありません。ただ、きっと「ある人にはある人にとっての気持ちいい生きる場所」があるはずで、それを探すヒントの一つにハタケトがなったら嬉しいと思っています。

最後に、ちょっとまじめなことも

今、私たちはとても便利に暮らすことのできる時代を生きている一方で、様々な社会・環境問題にも直面しています。私はその問題が「畑と暮らしの分断」に起因するものも多いのではないかと考えています。現在日本農業従事者人口は人口全体の約2%。もちろん、輸入があったり、2%にカウントされていない関係者もいるので、単純には語れませんが、ごく一部の人が全体の「食の生産」を支えるという社会構造になっています。私の周りでも「食」にはみんな興味があるのに、「農」と言った瞬間、興味を持つ人は激減する。いかに「食と農が分断しているか」は数字としても実感としても感じています。本当は食と農、そして、命、地球は繋がっているものなのに。
例えば、今年は大型台風や大雨の影響で大規模な畑と農産物の被害がありました。台風19号単体による農産物の被害は700億円を越えると言われており、今も復興は続いています。この状況でも街に暮らしていて違和感なく生活ができてしまうのは、畑への想像力が働きにくい環境、つまり「食と農の分断」に起因しているところも大きいのと感じています。

と言ったところで、自分が触れ合わない世界の人への想像力をもつことは簡単ではありません。だからこそ少しでも畑の周りで暮らしている人を「地続きの人」として共感してみてもらえる機会を作れたら。この活動が「畑の関係人口を増やす」ことに繋がったら。そんな思いも持ちつつ、たくさんの現場に足を運び、筆をとり続けようと思います。このメディアが「分断」ではなく「想像力を持って繋がる」ことに少しでも貢献できれば本望です。小さなメディアですが、どうぞ長い目でお付き合いください。

ハタケト 代表
TUMMY株式会社CEO 阿部成美