こんにちは、お野菜料理家のいまむらゆいです。わたしの住む町では、ぐるっと囲む山々が色づきを増してきて、眺めているだけで幸せになる季節です。

紅葉の時期になると、いつも思いを馳せる野菜があります。それは今回、おいしい食べ方をお伝えしたい、「里芋」です。

「野菜を丁寧においしく食べること」は、こんなにもしあわせな気持ちにさせてくれるのだと、わたしに教えてくれた、思い出深い野菜のひとつ。そんな里芋の「むふっ」っと幸せになれる食べ方をお伝えしたいと思います。

「いただきます」の言葉が本物になる感覚

地産地消の活動団体でお手伝いをしていたころ、よく農家さんと一緒に飲食店さんへ行き、シェフ自慢の一品を食べさせていただく機会がありました。

農家さんへのリスペクトがあるからこそ、シェフが素材の持ち味を大切にした料理は、本当に愛のある味で、ひとくちでこの上ない幸せを教えてくれました。

(小学校の芋煮会にて。地元の農家と人気店の料理長がタッグを組んで作る芋煮はそれはもう絶品)

シェフの「◯◯さんの里芋だから、うまいんだよね」、農家さんの「いやいや、シェフの腕のおかげですよ」そんなやりとりが微笑ましく、その空気感が大好きでした。

目の前のひと皿から、農家さんの顔、シェフの顔が見えて、食材とその方々へ向けた「いただきます」の言葉は、なんとも言えない安心感と満たされる気持ちにさせてくれます。

畑の里芋のその姿に

写真は、畑から掘り出したばかりの里芋。飲食店さんで働くスタッフさんとともに畑へ伺った時の写真です。

さつまいもやじゃがいも掘りの経験はあっても、里芋を掘れる機会はなかなかないですよね。

茎とつながる親芋に子芋、孫芋がくっついて一体となっていて、そこから根がたくさん出ていて、一つの大きな塊になっている里芋。

掘りたての里芋を初めて見たときには、イメージしていたものとの違いにびっくり、、。そして、その姿から、里芋がわたしたちの手元に届くまでに、どれだけの労力と時間があるのだろう、と深く考えさせられる姿でした。

(コンテナにいっぱいの里芋とそこから伸びる立派なひげ根)

(里芋の出荷作業をする農家さん。ひげ根をとり、大きさごとに分けて、一つ一つ整えていく)

農家さんはわたしにとってのヒーロー。大好きな野菜の生みの親であり、自然と共に生きる姿、畑で磨かれたその力強さが本当にかっこいい。「野菜を丁寧においしく食べること」を通して、畑に、そして農家さんに想いを馳せて、今日も野菜をおいしくいただきたいと思います。

焼き里芋、揚げ里芋

ハタケへの愛を語り尽くしたところで、お待たせしました、やっと里芋の食べ方のご紹介です。

里芋をおいしく食べるコツは、火を通す前に皮を剥かないこと。そのほうが、余すことなく里芋を食べることができるし、ぬめりのある里芋と格闘することもありません。

丸ごと蒸して、塩でいただく大定番の食べ方もねっとりで大好きですが、たまにはオーブンで焼いてみるのもよし。里芋らしさが出る食べ方でおすすめです。

【焼き里芋】

(外側のごつごつ感とはうらはらに、中身は見惚れちゃうほど真っ白できめ細やか)

まずは里芋はしっかり洗って、たて半分に。

天板にクッキングシートを敷いて、断面を上にして並べる。予熱なしのオーブンで200度45分焼く。

ほんのりこんがりとした焼き里芋のできあがり。

大ぶりに切ってオーブンで焼くと、ほどよく水分が抜けて、表面はパリッと、中はほくほく。煮物とはちがう魅力が出てきますよ。

食べるときは、オリーブオイルと塩胡椒で。しょうゆをちょろっとかけてみるのもいいですね。たまには、ナイフとフォークで里芋を食べてみるのも楽しいですよ。

【揚げ里芋】

もうひと手間かけるなら、焼き里芋を皮ごと唐揚げに。しょうゆ、酒、みりんなどお好みの下味をして、薄く片栗粉をまぶしてカラッと揚げる。おつまみにもぜひ。手が止まらなくなるのでお気をつけて。

実は、里芋は皮つきのままでもおいしい。一度は皮ごと揚げて、パクっと食べてみてくださいね。

おわりに

季節が巡るたびに、その時期の畑の風景が心の中にあることで、なんだか豊かな気持ちになれるように思います。秋から冬にかけて寒さが増す今、旬の里芋をちょっぴり丁寧に、おいしく食べてみてくださいね。