子どもが「育つ力」を信じて、日々の子育てを楽しんでいるファーミング・ベアこと、農家のベアくん。友人の都市りすくんは、ベアくんの考えに共感し、もうすぐ始まる自分の子育てに向けて準備中です。前回は野菜も人も「根っこ」を育てることが大切だというお話を聞きました。ベアくんは「根っこ」を育てる考え方を人生の楽しみ方にも応用しているそうですよ。(前回のお話はこちらから)

登場人物

ベアくんの話を聞いて、子どもに教えすぎないことが大切だとわかったけど、これまでぼくが経験したことや勉強して楽しいと感じたことは教えてあげたくなるなぁ。ベアくんはそう思うことない?

そうだね、教えてあげたいと思うことはあるね。だけど楽しいことを自分で見つける力こそ、豊かな人生を育てる「根っこ」だと思っているから、考える材料や入り口だけ見せてあげるようにして、興味をもつかどうかは本人に任せるようにしているよ。

入り口しか見せないってどういうこと?教えて!

「精製された楽しさ」との距離感

前回、野菜は近くに栄養がたくさんあると根っこを遠くに伸ばさなくなる話をしたね。人にとっての「楽しさ」も同じことが言えて、与えられることに慣れると自ら楽しもうとすることを忘れてしまうんじゃないかと考えたんだ。

与えられる楽しさ?

例えば、テレビ番組や動画などのコンテンツは楽しさがギュッと凝縮されているよね。考えてみたら当然なんだけど、プロがたくさんの研究と技術を重ねて楽しい気持ちになれるように制作してくれているから、誰が見ても楽しいに決まっているんだ。

楽しいところだけギュッと凝縮…。そうやって捉えると、欲しい栄養だけ取り出す「精製」と似ているね!

そうだね。テレビは大事なメッセージを発信してるし、つけると子どもも楽しそうに過ごしてくれるから、よく見せていたんだ。だけど、わたしの場合はテレビを見たがるようになった子どもの姿が、根っこを自ら遠くまで伸ばさなくなった野菜と重なって見えてしまってね。「楽しいことは与えられるものだ」と学んでしまったのではないか、とドキッとしたんだ。

ぼくもドキっとしちゃう。その後どうしたの?

極端だけど、家からテレビを無くしてみたんだ。テレビやタブレットなどスイッチを入れれば楽しいコンテンツを提供してくれるものはたくさんあるけれど、わたしはまず一番気になったところを工夫することにしているからね。

はじめは、テレビに替わる楽しいものをどうやって探してあげればいいだろうと悩んでいたんだけど、子どもたち自らそれを自然の中に見出せるようになっていったんだよ。子どもは楽しいものを求めて外を好むようになったし、うちは農家だからすぐ外にはハタケがあった。子どもが遊ぶ様子を観察していたら、自然の中には楽しく遊べる材料がたくさんあると気がついたんだよ。

自然の中で育む感性

子どもは外でどんな遊びをしていたの?

葉っぱなど落ちているものを拾ったり、それを高いところから落として音や動きを観察したり、踏んでみたり。大人が「え、これで遊べるの?」と思うような些細なもので、子どもはいつまでも遊んでいてね。自然は何一つ同じものがない上に日々変化があるから、自然の中に「楽しさ」を見つけられるようになると、遊びの材料に困らないみたいなんだ。

小学生になった今は絵を描くのが好きなんだけど、1本の木を描くにも鉛筆の濃淡にこだわったり、色鉛筆で何色も塗り重ねたりしながら工夫して楽しんでいる。きっと自然をよーく観察したり、触ったり、匂いや風を感じながら遊んでいるうちに、感じ取れることが増えたり、アイディアの幅が広がって自分で遊びの幅を広げられるようになったんだと思うんだ。

自分で楽しみ方を見つけられるのか!材料や入り口がわかれば自ら楽しめる感性が育ったら、すごく豊かな人生にしていけそうだなぁ。

そうそう、人生をより豊かにするヒントは感性を育むことにあるかもしれない、と子どもたちの成長を見ながら学んだよ。それに、大人だって感性は意識的に育むことができると思うんだ。りすくんもぜひ子どもと一緒に、自然の中で過ごしたり、小さな違いを観察したりして、楽しんでね。

都市りすのひとこと

楽しいことは自分で見つけて広げていけるものなんだなぁ。ぼくも子どもと一緒に自然に触れる時間を意識的につくってみようかな!

ベアくんからのお知らせ

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次回は「旬」にまつわるお話をお届けします。お楽しみに!