こんにちは。畑の魅力伝道師の寺田賀代后です。

インタビューしてもらった記事でも書いていましたが、わたしが野菜を扱う職種の中で一番最初に選んだのが飲食店さんにお野菜を納品する「仲卸」というお仕事でした。

大阪市内の飲食店さんに大阪郊外の新鮮でおいしいお野菜を届けたかったからです。

飲食店さんの人情に助けられた時のお話をさせてください。

正直言います。コロナ禍の仲卸業はかなり厳しい。

コロナでたくさんの飲食店さんが休業を余儀なくされました。

ニュースではあまり取り沙汰されない現状。

それは、飲食店さんによって成り立っている仕事が全てストップしてしまうということです。

八百屋さん、お肉屋さん、魚屋さん、酒屋さん、清掃業者さん、マット、おしぼり、などなど…

そしてその更に奥の一次産業

農家さん、畜産、漁師さん、酒蔵、メーカーさん

飲食店休業という5文字の中に、何千・何万社の毎日あった注文が無くなってしまうのです。

業者に対する助成金も1日の売り上げの足しにもならないような金額。おまけに生産者の方にはなにも援助はなかったのです。

「なんかせんとあかん」立ち上がったのは当事者である飲食店さんだった。

営業ができないということは業者さんが止まってしまうということ。

自分たちは協力金もあってなんとか踏ん張れる。でもこのお金を自分たちのためだけに溜め込んでおくのは果たして良いことなのか。

またお店を再開した時にお世話になっていた業者さんが潰れてしまっては意味がない。何かできることはないか。

そして、コロナでお店に来れないお客様達に喜んでもらいたい。家でお店の味を楽しんでもらいたい。

できれば1店舗ではなくいろんな店舗をハシゴしたような気分でお酒を飲んで欲しい。

と、大阪のミナミの飲食店さん数店舗が立ち上がり

「お家でハシゴ」プロジェクトが動き出しました。

参加した飲食店さん達がそれぞれ逸品を考え、オードブルにしてコロナで疲弊しながらも頑張っている方々に安価で販売するというものでした。

試行錯誤の末、大阪ミナミの人情オードブルが完成。

立ち上がった飲食店さんの一人。川端屋商店の川端社長。農家さんのところに訪問し、ハーブや食べられるお花を試食

わたしはこのプロジェクトを立ち上げた川端屋商店さんに4年間お野菜を納品してきました。

話を聞いた後、川端社長が農家さんに視察に来てくださり、ハーブやエディブルフラワーを試食。

頭の中でイメージしたメニューで使うハーブ達を注文。

それを私が責任を持って仕入れ、お届けする。という流通を担当しました。

販売日当日は3か月の次男を抱きながらお店に向かいました。

当日は不思議な感覚に襲われ、言葉が出なかったのを覚えています。

今でも言葉はまとまらず、上手く言えないのですが心がムズムズと動くのを感じたのです。

ありがとう、嬉しい、返さなきゃ、幸せ、仕事楽しい、頑張ろう、負けない、絶対生き残る。

たくさんの想いが一気に小さな心臓に集まり激しく高揚する感覚。

どれから手をつけていいのかわからない。

飲食店さんたちがワイワイしながらオードブルに盛り付けていく。キラキラした空間。

着々と準備が進められ販売時間15分前。

お店の前には楽しみに待つお客様の長蛇の列。

販売開始。1日50食のオードブルは即完売。

飲食店さん達の想いが伝わった瞬間でした。賑やかな店の前で拍手が鳴り響く。

笑顔の飲食店さん、お客さん、業者の方々を美しい夜景を見るかのようにうっとりした瞳で見つめ、やっと出て来た一言。

「あぁ。この仕事やめられへんな」

完成したオードブル

人情めしのその後。

人情めしプロジェクトはこれで終わりではありませんでした。

この想いに賛同した同じミナミの飲食店さんや違うエリアの飲食店さんに、人情めしプロジェクトが派生していったのです。

いつの時代もこれからも。

人の心を動かすのは人である。

と強く気付かされたプロジェクトでした。

このプロジェクトはニュース番組「キャスト」にて取り上げて頂きました