「苦手な食べ物やアレルギーはありますか?」

コース料理のレストランやお鮨屋さんで最初に聞かれるセリフ。

わたしは「特にありません」と堂々と言える自分の味覚を育ててくれた親に感謝してる。

アレルギーは仕方ないとして、一緒にご飯に行く人が食べ物に対して好き嫌いが多い時は気を遣う。

同じ味、香り、食感、温度のものを共有することができないことがとても残念だ。

「なぜ嫌いなのか」という質問をして「食感が苦手」「匂いがきらい」という答えをもらうとさらに理解できない。

思わず「そこが良いんじゃん!」と叫びたくなる。

自分の子どもにはなるべく好き嫌いなく、食べることを「楽しい」と感じてもらいたい。

「味わう」を学ぶ

赤ちゃんの味覚は離乳食が始まる生後6ヶ月ごろから発達し始める。

人の味覚の基礎は「五味(甘味、旨味、塩味、酸味、苦味)」で、赤ちゃんが好むのはそのうち「甘味」と「旨味」。

離乳食を始めるときは10倍がゆといって米をすりつぶしてそのまま飲み込めるような状態の「おかゆ」を食べさせる。

これは「母乳」で感じていた「甘味」と似ているため赤ちゃんが受け入れてくれやすいのだ。

徐々に慣れてきたら、魚や肉などのタンパク質から感じる「旨味」を与えてみる。

「旨味」はいわゆる「出汁」と呼ばれるもので、椎茸やカツオ、昆布などのスープを食べさせるのも良い。

他の味覚に関してはどうだろう。

離乳食はとにかく薄味のレシピばかりで大人のわたしが食べたらものすごく物足りなく感じる。

赤ちゃんはまだ内臓機能が発達しておらず、負担がかかることと素材本来の味がわからなくなってしまうため「塩味」は敬遠されてしまうのだ。

食卓を共にする喜び

我が家では1歳を過ぎた頃から急に食への関心が高まり、私たちの食べてるものを欲しがるようになった。

どうやら親と同じものを一緒に味わうことで、食べたいという意欲が出るようだ。わたしの隣で同じものを夢中で食べる姿は愛おしい。

酸味や苦味の役割

「酸味」や「苦味」は赤ちゃんにとって相容れない味。身を守るために酸味は腐敗を、苦味は毒物をイメージさせるようだ。

味覚の成長には個人差があり、大人になっても酸っぱい、苦いといった食べ物が嫌いな人もたくさん見てきた。

わたしは寧ろ大好きで、この世に酸味と苦味が存在してくれるおかげで「おいしい」の解像度が高まったと思っている。

未知の味との遭遇

息子に、実家から届いた梨を初めて食べさせた。口に入れた瞬間に、これまで感じたことのない味にびっくりしたのか、顔をしかめそっと皿に戻しその日は全く食べようとしなかった。

けれど、次の日に切り方を変えて与えてみたら恐る恐る手でつかみちょっとずつ噛みながら味を確認するように食べた。

味覚の幅を広げるためには多種多様な食と出会い、楽しむことだ。

食べるは、感じる

「おいしい」は必ずしも味だけで決まるものじゃない。

食べる環境、見た目、食材の色や形、食感、香り、温度、そして生産のストーリー。

複数の要素が重なり合い、総合格闘技のようにおいしいの点数がつく。

わたしは小さい頃、お母さんのつくるチーズケーキが大好きで、しあわせな記憶と結びついたあの味が、大人になった今も大好物だ。

学校の給食で好き嫌いが多くていつもお昼休みまで一人で食べさせられてたクラスメイト。

振り返ると、あれは嫌な記憶として一生残り、今も食事を楽しめない大人になってしまったのではないだろうか。

あるべき食育の姿

「食育のため」と小さな頃から食べるものを細かく管理され、嫌いなものも無理やり食べさせられ、残したら怒られる。

そんな「食育」は子どもも食べることを嫌いになり味覚も発達しないのではないだろうか。

わたしたち母親が子どもにしてあげられることは「食べることは楽しくて幸せだ」と感じられる環境をつくること。それと、新しい味や食材に小さい頃からたくさん触れさせることなのだと思う。