※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

こんにちは。ハタケトの編集を担当しています、やなぎさわまどかです。店頭には新鮮なグリーンの野菜が増えはじめ、農家さんたちは絶賛繁忙期、小さな我が家の家庭菜園でも収穫が楽しい時期に入ってきました。

(最近のお気に入りは赤く薄い皮が特徴のじゃがいも「アンデスレッド」。オーブンで焼くだけで絶品のベイクドポテトができあがる、おすすめの品種)

色彩の移り変わりと、巡る季節

私たちが借りる前からこの家にあった小さな梅の木。通常梅は、豊作と不作を1年ごとに繰り返す隔年結果のはずなのですが、毎年とてもよく実ってくれるありがたい存在です。

去年の20kgに続き今年は30kg越え。軽く苦笑いが出るくらいの大収穫でしたが、友人たちに引き取ってもらいながら無駄にすることなく、今季の梅仕事にも終わりが見えてきました。

まだ緑色で硬い青梅を間引きながら、万能家庭薬の梅肉エキス、梅シロップ、梅サワー、茶梅、梅味噌、梅醤油と仕込みが続き、最後に、枝についたまま黄色く熟した「樹上完熟」の梅を梅干しにします。

(鮮やかな黄緑色だった梅が黄色く熟して赤みを帯びる、この色のグラデーションに毎年魅せられています)

また、梅の実りと同じ頃に咲くアジサイの花も、今年はかなり赤味が強まった気がします。同じく私たちよりも前からこの家の庭にいるようなのですが、越してきた頃きれいな水色だったのが、鮮やかなパープルになってきました。土壌酸性度の変化による影響のようです。

 (アジサイの葉っぱは有毒だと聞くため、草を食すわたしもさすがに食べずに愛でるだけ)

タネとりで循環する愛

今年はプランターでも「バターナッツスクオッシュ」という西洋かぼちゃを育て始めました。ツルを上に伸ばす「空中栽培」に初挑戦です。

畑ではいつも王ヶ頭(おうがとう)という昔ながらのかぼちゃを作っているため、交雑しないように他の品種のかぼちゃは距離を取る必要があり、しかし限られた小さな家庭菜園のため、思い切ってプランターに植えてみることにしたのです。

そこまでしてチャレンジしてみたかったのは、以前取材などで何度もお邪魔した、大好きな農家さんのバターナッツスクオッシュがあまりにも見事で感動したから。去年の秋いただいたバターナッツからタネを残して、よく洗って乾燥させ、冷蔵庫で保存しておきました。

(昨年秋に感動したバターナッツ。この調理の前にタネ取り)

保存していたタネは今年の3月頃にポットにまき、見事に元気な発芽を確認したのが4月頃でした。

そこから元気に成長を続けたこの苗が、6月現在、たくさんの花芽をつけています。少しずつ見えてきたベビーの姿はすでにかわいいサイズのバターナッツ。どうかこのまま大きくなってね、と願う日々です。

昨年は同じように、母が家庭菜園で育てたと送ってくれた「食用ホオズキ」もタネ取りしました。ぶどうのような甘さと酸味、ミニトマトのような口当たりに感動したからです。F1種かなぁと思いつつもタネまきをし、今のところ元気に育ってくれています。

バターナッツもホウヅキも、どちらも収穫はまだ先ですが、季節といのちの確実な循環を眼の前にすると、いろんなことを考えさせられるものです。

植物たちはタネを次に繋げるために懸命に生きる。タネを生かすために、風で飛ばしたり、虫に運んでもらったり、動物に食べてもらったり。動くことができない自身に代わる手段として工夫を重ねて生きる。人間との共生も、その工夫のひとつだと思うのです。

動けない植物のそばで、移動が可能であり、はたらく手も、考えられる頭もある人間のひとりとして、自分は何をするべきか。梅の実のヘタを取りながら考えています。

ライター/やなぎさわまどか

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