※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

こんにちは。ハタケトで編集を担当しています、やなぎさわまどかです。家庭菜園をわかりやすく楽しめるのは、やはり夏野菜ですね。そのためには現在、絶賛タネまきシーズン。わたしも仕事の合間と天気予報を見ながら、庭や畑を往復する日々です。

みどり、みどり、みどり

俳句の世界には「山が笑う」という春の季語があるのをご存知ですか。木々が芽吹く様子を笑顔に表現する感受性がすてきだなぁと思います。

津久井に越して以来、この季節に車に乗っていると、視界に飛び込んでくる新緑の美しさにはハッとするほど心を奪われる瞬間があります。まさに、春の山は笑うがのごとし。どこを見ても、とても豊かに、もこもこ、ふっくら。

(素晴らしい写真は津久井湖フォトコンテストのサイトから拝借した八木久雄さん撮影の入賞作。津久井は低山なので、車から見ると山との目線が近く、迫ってくるかのような緑です)

お山がこうなってくると、いくら小さな家庭菜園といえども、あれをしよう これもしたい、と思い始めるのが例年のパターンです。タネを土に下ろし、苗を育てている間にカレンダーはゴールデンウィークへ。藤の花が優雅に揺れて、ツツジが鮮やかに咲きはじめたと思っているうちに、暦の上では「立夏」に差し掛かります。

「立夏」とは”まるで夏が立ち上がってきたよう”な季節を意味する暦。四季をさらに6つずつに分けた二十四節気で、今年は5月5〜21日が立夏に該当します。確かに5月は例年、爽やかで気持ちの良い晴れ間が増えますよね。今年はどうも全国的に梅雨が早まるそうですが、それでも畑からは少しずつ葉野菜などが採れ始めました。

(我が家のサラダバー畝。水菜、結球レタス、リーフレタスなど)

大好きなグリーンピースは今年なぜか全くうまく育ってないのですが(涙)一方で、空豆は今までで一番いい感じです。

(その名の通り空を向いて成長する空豆。サヤが膨らみ下を向きはじめツヤが出たら収穫時期)
(こんな奇跡みたいな造形ある??と毎年感動します。守られてるってこういうことなんだな、と)
(ふっかふか。気持ち良さそうです)

爽やかな立夏となるはずの五月が、今年は雨や強風が続く不安定さ。近年の気候危機によってカレンダーも暦も、現実とのズレを実感することが増えました。きっとわたしのグリーンピースが全然実らないのも、なんらかの見えない要因があったのでしょう。

しかしそれでも続くのがわたしたちの生活です。基本的に「その時にある野菜」を食べている我が家は食卓が緑化し、曇り空でも夏のために苗を畑に移し、またさらに、夏に向けてもう少しタネをまこうとしています。

(畑から帰った直後の食卓。レタス、水菜、スナップエンドウ、小松菜、ケール、と見事に緑化)

もう少しタネまき。と思って考えたこと

毎年「いつかチャレンジしてみたい」と思っていたツルムラサキのタネを初めて買いました。ツルムラサキは少し厚手の葉野菜で、真夏の暑いときにいただくと元気になるような、頼もしくて力強い野菜です。

二人暮らしなので苗2〜3本あれば十分。1ポットに3粒ずつタネを下ろしたら、あとはもう元気に芽吹いてくれるのを待ちながらお水をあげるだけです。

(タネの袋を開けるときは上ではなく下をカットするようにしています。一度に使うのは数粒ですので、袋の口をクルクル巻いて留めるとき、上をカットすると作物名や栽培の説明書きが読めなくなってしまうのです)

どうか無事に夏のご馳走にありつけますように。と、タネをまいた後にふと感じたのですが、このツルムラサキのタネ、100粒で314円です。とっても安いと思いませんか?

100粒のいのち。それも、海外の種苗家がタネ採りして、こうしてパッケージされて、販売サイトがあって顧客を管理してくれて、おかげで自宅にいながら郵便で届けてもらって、それでこの金額。
家庭菜園で使える量は限られているし、一人でたくさん買ったり、全員が必要なものでもないし、タネ屋さんて一体どうやって経営が成り立ってるのだろう?と考えてしまいました。

でも無くなっては困る、大切なものです。せめて大切に活かして、どの作物も気持ちよく育ってもらえる環境を整える努力を続けよう。

コロナ禍になって大好きだったお店が閉店する寂しさを味わったからこそ、本当に応援したいことのために、限られた自分のリソースを活かしたい。山が笑い、夏が立ち上がりかけた今、夏本番の前に自分の生活もちゃんとしよう、と改めて思うのでした。

ライター/やなぎさわまどか

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