※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

岐阜県中津川(なかつがわ)市の写真家百姓で、Koike lab.代表の小池菜摘(こいけ なつみ)です。畑の魅力伝道師の中では現在唯一の農家。畑に生かされている人間として、なにをお伝えできるかなぁ、なんてずっと考えながら、今日もいのちを愛でています。

ハタケト 、今。

田を起こし、畑に堆肥を入れてかきまぜる。
ちょうどタンポポが咲き始める頃から、芋農家の一年が始まる。

(一昨年。近所の桜並木と我らが恵那山)

ことしは桜と梅が一緒に咲いちゃって、どっちがどっちか遠目ではわからない。
わたしの暮らす岐阜県中津川市では桜関連のお祭りは大体4月10日。

そこで満開ぐらいになるかしら。
ちょっとペースがはやいんじゃないの?なんて、年度末の喧騒と共に人間は大慌てしているところ。

(わたしの春仕事はじゃがいもの芽出し作業から)

農家の長男で、Koike lab.の農場長である夫は基本的に自分のペースで仕事をすすめていくひとだけれど。
猫の手もかりたいくらい仕事がある春は、わたしを一緒にやる農作業に誘ってくれる。

『一緒にやろ〜』
『なっちゃんと一緒だとたのしい〜ありがとう〜!』

ってフツーに言われると、めちゃくちゃ嬉しい。
一生懸命いきて積み重ねていく日々に年々嬉しいことが増えて「しあわせ」になっていくのって良いよね、なんて、今日はそんなお話。

神様みたいなひと

夫は証券会社時代の同期で、わたしが惚れ倒して頼み込んで結婚してもらった。
こう言っちゃなんだが、神様みたいな夫がずっとそばにいるのでわたしは大変にダメな嫁になってしまったんだ、と思ってしまうくらい、彼は完璧だ。

ごはんをつくるのも、食器を片付けるのも、掃除も、お風呂洗いも、ゴミ捨ても。
フルタイム兼業農家だった夫が、昨年ほぼ農家になってからというもの、わたしが家事をしたことはほとんどない。と誇らしく言うもんじゃないよ、と窘められながら、それでもやっぱり誇らしく言ってしまう。

『君が苦手な作業を毎日やると鬱になるからねー』
今朝もそうやって笑いながら朝食を作り、片付けて、掃除機をかけながら娘の支度をしていた。

それだけでも十二分にすごいことなのに、さらに夫はわたしのカウンセラーでもある。
そもそもうつ病から色々を乗り越えて人間らしい生活ができるようになったのも夫のおかげだし、わたしがやりたいことをやりたいだけやれるのも、全部夫のおかげだ。

神様仏様夫さま。

夫はわたしの在り方を絶対に否定しないし、かと言ってぬるま湯につけて甘やかすわけでもない。
「小池菜摘」といういのちを尊重しながら、手を出しすぎることなく育てられているような感覚だ。

察することができないわたしの特性を理解してできる限りの言葉を駆使して伝えてくれるし、迷っていたら目的地までの最短ルートを思いつくだけ提示してくれる。

特筆すべきは、褒めて欲しいときにちゃんと褒めてくれる。
そのタイミングも、褒め方も、何もかもが絶妙で。
毎回毎回、頑張るたびにスーパーご褒美タイムがやってくるものだから、わたしはすぐに次のことを頑張ることができる。

(2011年。何歳になってもなでなではご褒美。年々イケメンになるのもポイント高い)

10年間しあわせを増やしつづけるコツ

2011年、東日本大震災の年に結婚したわたしたちは、今年錫婚式を迎える。

出会った頃は大嫌いで、好きになってからは毎日どんどん好きになって、結婚してからは毎日ではないけれど、少なくとも3日に1回ぐらいは「好き、、、!」ってなりながら、3ヶ月に一回ぐらい過去最高を更新して。
ってやってたらなんか10年も経っていた。だから当然今も毎日夫のことがめちゃくちゃ好きだ。しあわせが増幅している。もはや死ぬときなんてしあわせの絶頂に違いないから、夫が生きているうちに死にたい。本当に。

こんな感じのプライベートだから、「どうやってそれを維持してるの?」ってよく聞かれる。

わたしの回答は「夫が神様だからなあ、、、」しかないので、思い切って夫に聞いてみたらめちゃくちゃ真面目に

『家事を担うことと、相手を毎日よく見て観察することだよ』

と言われた。

(わたしは相手をよく観察もせずタイミング悪く自撮りを強要したりする)

夫曰く。

暮らしのめんどくさい、は大方家事にある。
夫側にわずかでも「家事は女がやるもんだ」なんて考えが頭の片隅にでもあるとそれが嫁のストレスになりうる。
かといって嫁側が「夫がやって当然だ!」なんてちょっとでも思ってしまったらそれが夫側のストレスになりうる。
うちの場合は、あまりにも家事が嫌いなひとに嫌いなことさせて、仕事の能率が下がるぐらいなら、全部家事を担って好きに仕事してくれた方が、夫婦としての効用は高いでしょ。

ちゃんと見てればわかるよ、状態を見て話と行動を合わせるの。
女のひとの方が、心身の状態において自分でコントロールできる幅は狭いと思うのよ。男に生理はないしさ。だったら俺が合わせたら良いじゃん、って、そんだけ。

(なあんだ、ただの神様か)

何もかもにずっと感謝をして、理由ある行動をすべて許して。
わからないことはちゃんと聞いて、毎日たくさん話して。

今日も夫は神様だから、わたしは夫の話を聞く。
聞いていればわかる農作業の疲労と、睡眠時間を勘案して、娘の反抗を受け止めに行く。
空気が読めないわたしだけど、夫がしんどいときは力になりたいと思うから。

家族のストレスの総和を最小限にすることが、しあわせを積み上げるコツなのかもしれない。

ライター/小池菜摘

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