都会に暮らし、もうすぐ子育てがはじまる、都市りすくん。これからの子育てを考えたとき、頭に浮かんだのは、いつも子どもと一緒にのびのび暮らしているファーミング・ベアの存在でした。そこで早速、ヒントを求める気持ちで、ファーミング・ベアに会いにいきました。

登場人物

「育つ力」を信じる

ベアくん、久しぶり!これから始まる子育てが不安だなぁと思ったとき、ベアくんのことを思い出して会いにきたよ。ベアくんはどんなことを大事に子育てしているのか、教えてくれる?

やあ、りすくん、ようこそ。思い出してくれてうれしいよ。子育てにはちょっとこだわりがあるんだ。実はね、健康な体さえ用意してあげれば、あとは本人が生まれもった力で自由に育ってくれると信じているんだ。食べるものをよく考えて、健康な体を育てることを一番大事にしているよ。

親が育てるのではなく、子どもが育つ力を信じてあげているんだね。どうしてそう考えるようになったの?

農業の「土作り」からヒントをもらったんだ。野菜を色々な方法で育ててみて、こだわるべきものは土だとわかったんだよ。土をしっかり整えてあげられれば、野菜は本来もっている力で元気に育ってくれるんだ。

育つ力は野菜に最初から備わっているんだね!

土を整えるように、食を整える。

野菜は根っこから栄養を吸い上げて成長するから、根っこの周りにある土が野菜そのものに直結するんだ。野菜が色々な栄養を吸えるように土を整えてあげることが「土作り」で、育てる人の大事な役割だと考えているよ。

野菜には土から吸い上げた栄養が詰まってるのか!野菜の栄養や味は種類ごとに同じなんじゃなくて、育つ土によって違うんだね。じゃあ、土にたくさん栄養をあげなきゃ!

それが、たくさんあげればいいというものでもないんだ。野菜を大きくするための栄養はこれまでの研究で主要なものがわかっているんだけど、そればかりあげると、野菜は余分に栄養を溜め込んでしまうんだ。そうすると虫がつきやすくなるし、病気になりやすいから、農薬が必要になってくる。

わたしはできるだけ薬を使わずに済むように、バランスのとれた自然な土の状態で、野菜を健康に育てることを大事にしているよ。何より、健康に育った野菜はおいしいんだ。

野菜の健康と不健康なんて、考えたことなかったよ!

大きくなる栄養をたくさんあげれば、もちろん野菜は大きく育つよ。でも、「大きくなるための栄養を吸っただけの野菜」と「健康な野菜」は違うんだ。

自然に近い状態の土で育てると、わたしが把握しきれていないような色々な栄養も、必要なだけ野菜が自分で吸収してくれるんだ。そうした栄養は野菜の体をしっかり支えてくれるから、丈夫で健康に育つんだよ。

そもそも野菜の成長に何が必要かなんて、わたしたちが全て把握できるわけないと思っていてね。土は整えるけど、わたしが自分で全てを作ろうと思うのではなく、環境と野菜本来の力を信じて委ねることも大切にしているよ。

ほえ〜。野菜はベアくんが整えてくれた自然な土から栄養を吸収して育っているんだ。野菜が自分で食事しているような感じなんだね!

そうなんだよ!実はわたし自身、食べるものを変えただけで健康的に15kg痩せたことがあってね。人間も何を食べるかが大事だと思った経験が、農業の「土作り」と重なったんだ。

人間は自分で食べるものを選ぶことができるけど、野菜はできないし、それに、小さい子どもだって自分では選べないよね。だから、最初はわたしが食を整えてあげたいと思うし、ゆくゆくは自分で自分の体を元気にする、食べ物を選ぶ力も育ててあげたいと考えているんだよ。

なるほど〜!ハタケで学んだことが子育てと重なったんだね!
食べものを選ぶ力かぁ。栄養のことってなんだか難しいし、わたしは食べたいものがたくさんあるからなぁ…ちゃんと選べる自信がないよ。ベアくんはどうやって選んでいるの?

わかるよ。毎回食べるものをきちんと考えて選ぶのは大変だよね。だからわたしは「味覚」を育てることをおすすめしているよ。

都市リスのひとこと

野菜が何を吸収して大きくなっているかなんて考えたことなかったな〜。土から吸収したものが詰まっていて、この体も野菜が吸収してくれた栄養のおかげで健康でいられていると思うと、ちょっと神秘的。

当たり前だけど、わたしの体はわたしが食べたものでできているんだなぁ。いつも食べているものを思い返しながらハッとさせられちゃった。

次回はファーミングベアが大人になってから味覚の変化を感じたお話です。お楽しみに!