このマガジンは「畑のそばに生きる様々な人」と「その暮らし」の紹介を通じて、皆さんと一緒に生き方の選択肢を再発掘していくメディアです。

今回は、第1回目にご紹介した「絹島グラベル」の子育てママを応援する農園経営の話に刺激を受けたハタケト運営メンバーの阿部 成美(あべなるみ)と有本 千秋(ありもとちあき)が考える、これからの「暮らしと働くの境界線」について思うことをお伝えします。(※両名とも、食と暮らしのブランディングカンパニーTUMMY(タミー)株式会社所属)

阿部、有本ともに現在アラサー女子。まさにこれからの「家族との暮らし」と「仕事」の両立のあり方を模索しているところです。わたしたちが直面するリアルな悩みに対して、絹島グラベルが与えてくれたヒントはなんだったのか、話してみました。

地方在住の「奥さんが働くところがない問題」

阿部 長嶋さん夫婦、本当に素敵だったね〜。自分たちにとって何が大事なことなのか、よく分かって農園を経営していたよね。

有本 「トマトで儲からなかったら別の事業をする。」って言いきれるのはすごい!(笑)そのくらい農園を通じて、自分の家族、そして従業員の家族まで大切にできる環境作りを大事にしていたよね。

阿部 なんか、とてつもなく感銘を受けて何から話していいかわからないのだけど、ありりん(※有本のあだ名)は特に何が印象的だった?

有本 わたし自身、夫の地方転勤についていくことが決まって会社をやめた身だから「地方の奥さんが働くところがない」という長嶋さんの言葉に「わかる〜!」ってなった。夫と一緒にいたいから一緒に赴任地に行くけど、私だって仕事を続けていきたい。私の場合はリモートで働けるTUMMYに入らせてもらったけれど、その話が出てくる前は、フリーランスでライターをやるのか、WEBデザイナーになるのか考えつつも、この先どうしたらいいかすごく迷走してたからね。職種を選ばなければ仕事はあるんだろうけど、それがやりたい仕事かとなると「う〜ん…」って考えちゃう。

阿部 分かる。私も地元が山口県で、就活するとき地元の就職も考えたけど、やりたいなって思える仕事を見つけることができなくて。でも田舎育ちだからこの先ずっと東京に住んで子育ても東京でしたいかと言われると「う〜ん…」ってなっちゃう。でも仕事も続けたい。だからこそ起業したんだよね。

有本 仮に住んだ先で会社勤めできたとしても、産休とか育休をとるのも、子どもの風邪で急に休むとかも毎回申し訳ない気持ちでいっぱいになりそう。周りが快く受け入れてくれるかどうか、不安だよね。

阿部 その点、絹島グラベルはパートの皆さんが申し訳なさで苦しくなったり、休まれた側が不満に感じている様子が一切なくてびっくりした!「持ちつ持たれつだし、しょうがないじゃん」が全員に浸透していたよね。

育み愛でる感性を、農園で活かす

有本 長嶋さんの奥さんが会社勤めの経験がないからこそ、働くママの「こうじゃないと働けないよ!」って声を当然のことと理解して主張できるのもいいよね。冷静に考えたら、予定通りいかない方が当たり前なんだもんね。

阿部 長嶋さんは「畑が人をおおらかにする」と話してくれたけど、だからこそ予定通りに働きにくい子育てママを受け入れる、懐の深い経営ができるのかな。

畑×女性ということでいくと、トマトを落っことしたパートさんが「痛かったね〜!」となでていた話もあったね。私もお野菜がかわいく見えて仕方ないタチだから気持ちめっちゃ分かる(笑)

有本 「育てる」とか「かわいい」っていうときめきは女性的なのかもね。そういう感性は農園でも役に立つ気がする。

阿部 たしかに。単純な働き手としても活かせそうだけど、最近は農園でも自分たちでマルシェをしたり、SNSで発信したり、ネットで直売したり、直接お客さんとつながることを重視している農家さんも増えてるよね。いま農園で生産することに手一杯で忙しい農家さんには、今後販売や顧客とのコミュニケーションを率先して担当できる人材のニーズがありそうな感じ。

有本 買い手にも同じく子育て中とかの女性が多いのだとすると、同じ状況の女性だからこそ役に立てることは多そう!長嶋さんのように地域の雇用を生むことを考えてくれる農園と、女性らしい感性をもって畑と向き合える方がマッチングしていくと、お互いにとっていい効果が広がりそうだね。べーちゃん(あべのあだ名)はすでに週1ファーマーを実践していたけど、私も夫の転勤先ではそういう関わり方をできる農園を見つけたいな。

阿部 週1ファーマーめっちゃおすすめだよ!今は妊娠中で畑に通うこともできてないけど、毎週通ってると畑に行くからこそ新鮮な野菜にアクセスできるし、体も太陽を浴びるからすごく健やかに生きられてたんだよね!

有本 ベーちゃんの週1ファーマーについてはまた次回詳しく聞かせて!あと、べーちゃんと同じオンラインサロンの「農ブラ部」の田山さんの話も。子育て中で週2ファーマー生活を実践している生き方についてもっと教えてもらいたいな。

働きやすい環境設定で、経営にも効果を

有本 子育てママと農園が相性がいいとはいえ、絹島グラベルがうまく運営されてるのは、体制や仕組みづくりもしっかりしていたところもあると思う。

阿部 そうだね。記事では全て紹介しきれなかったけれど、仕事の出来具合で給与が上がっていく仕組みや、それぞれの基本給を公開しあわないルール、逆に役職手当ては公開してモチベーションアップにする仕組みとか。家族を一番大切にしている人同士がコミット高く働ける制度が整えられていたよね。

有本 融通がきくことと、コミットメント意識の低下は、正直紙一重だと思ってる。その上で、理想の働きかたを叶えるためには環境整備する必要性はあるとすごく感じた。

阿部 わたしたちTUMMYも、地方でも働けることをテーマにしてリモート勤務を中心にしているけど、物理的距離がある分、どの程度密にやりとりすれば仕事が回る状態を作れるのか、事前のルールとか仕組み作りにも成功の鍵がありそうだね。

とはいえ、長嶋さんも農園経営が苦しくなることも正直あると教えてくれたけど、こんな素敵な農園が苦戦するのってくやしくない?

有本 本当にそうだよね。単に従業員を労働力としてみるんじゃなくて、大切な人として扱っている結果が経営の数字に響かないというのはやるせない。

阿部 こういう時こそ私たちのようなブランドを作る人間の出番だよね!ちゃんと素敵な経営をしている人のものを、ちゃんと「素敵だ!」と思ってくれる人とおつなぎしたい。販売するときに結局、価格争いになってしまうと誰も報われないから。

私たち自身も、家族との暮らしを大事にする働く女性として、絹島グラベルに習った働き方をしていきたいし、絹島グラベルのような経営をする企業を応援していきたいね。

(女子会はここで終わり)

絹島グラベルの経営スタイルに大きな刺激を受けたハタケト女子のふたり。次回は文中にも出てきた、阿部の「週1ファーマー」という働きかたについて、また次次回では、田山ゆきさんという女性の「週2ファーマー」生活についてご紹介します。農家ではない人が畑と関わっていく暮らし方とは?

次回もぜひお楽しみください。