※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

今回は、物語から生まれるクラフトビールブランドBEERful代表のゆるみな。が連載するコラム第8弾をお届けします。

11月は和風名月で「霜月」と呼ばれていて、「霜が降りる月」いう意味から名付けられたと言われています。

ハロウィンも終わり、街はもうすでにクリスマスムード。昼夜の寒暖差も大きくなりそろそろ冬用のコートをクローゼットから引っ張り出そうと思っています。

飲食業界におけるニーズの変化

(梨花一心とアミューズ)

自粛モードも終わりを迎え、外食をする人も増えたのではないでしょうか。

飲食業界においてコロナ前後では、外食の回数は格段に減り反対に1回の外食にかける金額は増えるという傾向があるという話を聞きました。

振り返ってみると、確かに無駄な外食は減り、本当に食べたいものや飲みたいものがあるお店に予約をとって行くことが増えたと体感します。

これまでの飲食業界では「コミュニケーションの場」としての機能が強く、料理のクオリティーや質は二の次というお店もたくさんありました。

食に対する愛の見えない飲食店の実態

(ロゼワインとアミューズ)

学生時代、まだ世の中のことを知らなかったわたしは、まんまとイケメンなキャッチのお兄さんに紹介されて居酒屋に入店しました。

出されたのは温かいグラスで出てきた水のようなハイボールと萎れたキャベツ、そして乾燥したお刺身。

隣に座る知らない人の笑い声が会話を遮るほどの距離に耐えられず、入店して15分でお会計。

目を見張るほど高額な請求にもう二度と足を運ぶことはないだろうという残念な気持ちと、食材をこんなに粗末に扱う飲食店がなんのお咎めも無く平然とした態度で営業されていることに衝撃をうけました。

飲食店を分けるのは、「食材への愛の強さ」

(白ワインとスープ)

あの時から5年。世の中のことを少しだけわかってきた今では滅多なことがない限り、お会計で「高すぎる」と感じることはなくなりました。

先日伺った初台のアニスというレストランでは、あの居酒屋で出された伝票より記載されたゼロの数は1つ多いのに「こんなに安くていいのですか」と思うくらい食に対する愛が強かったです。

食材に対する偏愛とあくなき探究心から新しい可能性を生みだす料理人。

料理の美味しさを最大限に増長させ、さらに新たな魅力を引き出すお酒を選ぶソムリエ。

そして料理とお酒のポテンシャルを熟知し、より一層魅力的に伝えられるサービスマン。

その一連の業に携わるすべての人が、真摯に食と向き合い、まだ知らぬ未知との遭遇をさせてくれます。

そんな「体験」が人々の食に対する意識をいっそうに高め、わたしの生活にメリハリをもたらしてくれているのです。

「愛の強さ」を見極めるのは〇〇を見よ。

(白ワインと魚)

飲食店側の食材への愛の強さというのは比較サイトを見ても残念なことに可視化されていません。

ではどのようにして愛の強い飲食店を見極めたら良いのでしょうか。

1つは「畑にいたときと変わらないありのままの姿でシンプルな料理を旬の時期に出していること」。

特にサラダを頼んだ時に、食材の管理をきちんとしていればシャキシャキという食感とみずみずしさが残っています。余計な味をつけなくても野菜の旨味で食べられちゃうサラダを出すお店は120点満点です。

2つ目は「食材に適した調理法で、素材の味や香りを引き立たせていること」。

にんじんのグラッセをつくるとき、まさか揚げたりしませんよね。甘すぎてもよく無いし、煮込みすぎてにんじん自体の香りや甘さが失われるのも残念です。

自分の中で「ここは愛を持って食材と向き合ってる」と感じる基準を設けて見つけましょう。

逃げ出したい日も、ありますよね?

(赤ワインと肉)

出産して4ヶ月が経ちましたが、生後間もない我が子を育てながら、一つの法人の経営者として事業に向き合うことは決して容易ではありません。

そんな人生にを「苦しい、逃げたい…。」と思わずに「まとめて、かかってこい!」という強いモチベーションを維持し続けることは、はっきり言って不可能です。

きっとSNS上では常に輝いて見えるあの人も、すれ違う楽しそうなあの人も、みんな何かしらのモヤモヤを抱えて生きています。

「もう無理、限界。全て投げ出して逃げてしまいたい。」

そう思う日があってもいい。

わたしは仕事で疲れきった日の夜、旦那に子どもを預けて外食をしています。

(友人の就職祝い)

大切な友人と一緒に大好きなお酒を飲んで、食べたいものを我慢せずに好きなだけお腹いっぱい食べることで心が満たされる時間は前向きな気持ちにさせてくれるのです。

「今日も楽しく生きた!明日も楽しく生きるぞ。」

わたしにとって「外食」という行為は、食の可能性や魅力を再認識し、日常に刺激と感動を与えてくれる最高のエンターテインメントなのです。

みなさんも愛の強い飲食店に出会って、エンタメとしての外食を楽しんでみてくださいね。

ライター/ゆるみな

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