こんにちは。ハタケト編集長のあべなるみです。

普段は「ブランドの助産師」として食と暮らしの領域を中心に、すでにあるらしさを活かすブランディングを生業にしているわたしが、「畑の周りにいる人はなんだか幸せそうな人が多いぞ?」という気づきから始めた、メディア「ハタケト」。

これまでに農家から、家庭菜園をする方、農業に関わる独自の働き方をする方に至るまで様々な畑と関わる「豊かそうな人」に取材し、その気づきの正体に迫ってきました。

計66件の記事発信(11月6日時点)を経て、「畑の周りにいる人はなんだか幸せそうな人が多いぞ?」と感じてきた理由がわたしなりに分かってきつつあります。
今日はわたしがこれまでの発信を通じて得た大きな3つの気づきを共有できたらと思います。

ぜひ、あなたの意見も聞かせてください。

知らず知らずのうちにわたしたちは「常識」や「他者の目」で自分を縛っている

多くの方々に取材してきましたが、わたしたちが「この人は豊かそう」と思って声をかけるハタケトの多くが都会でのバリキャリ生活を経験している方であったことはひとつの驚きでした。

「仕事とはこういうもの」と信じてきた常識に違和感が生じたとき、複数の方がハタケトにシフトしているのです。

”環境負荷の大きな事業を行う企業も大切なクライアントのひとつだったりして、「環境に良くない」と思う気持ちを「仕事だから仕方ない」と押し殺すようなときもありました。

それが、東日本大震災と、福島第一原発事故により、仕事であっても環境に良くないことを推進する事業に賛同するような自己矛盾に耐えられなくなりました。”

都心会社員から山間部で家庭菜園を楽しむライターへ。「この生活をずっとは続けられない」心の声にいつ答える?【やなぎさわまどか】
(https://hataketo.com/901)
(都心をハイヒールで闊歩するキャリアウーマンから家庭菜園を楽しむライターに転身したやなぎさわまどかさん)

”大きなきっかけは東日本大震災です。(中略)モニターがバタンバタン倒れてくる中で、とにかく必死で、取引に集中していました。ミスをしたら、何千億円が飛ぶ世界なので…。その瞬間にいのちが失われていることを気にかけている人は、そこにはひとりもいませんでした。”

自己肯定感ゼロだったわたしが、お金第一の価値観を捨てて人生変わった話(https://hataketo.com/343)
(証券会社のエースから写真家百姓となった小池菜摘さん)

また、周りの目や様々な広告に囲まれる都会での生活で、自分自身が本当にやりたいことを見失っていたという指摘も複数ありました。

”(仕事の)楽しさを味わいながらも、夜までの残業や土日の仕事も好きじゃないし、毎日高いヒールを履かなきゃいけないことに違和感がありました。なんだか合っていない、無理してるかも、と。さらに、東京にいるとあっちこちにいろんな広告やお店があって、食べたい!欲しい!とすぐに思ってしまう。情報やものが溢れすぎて、自分が何をやりたいか、何をやりたくないかも分からない状態でした。”

戦わされているわたしたちが「心から湧き上がるやりたいこと」に気づく方法。【だいこんや農園 赤堀香弥】(https://hataketo.com/1334)
(都市計画の大手会社から有機栽培農家になっただいこん屋赤堀香弥さん)

”東京にいた頃のわたしたちは、子どもを育てるという考えはちらりともありませんでした。(中略)きっと、あの頃は知らず知らずのうちに諦めていたのだと思います。だからわたしにとって一番大きな変化は、そういう自分の中に当たり前のようにあった「できない」がなくなったことかな。”

女優、メイド、コスプレイヤー。都会を謳歌したわたしが見つけた、第二の自由【ルキノ】
(https://hataketo.com/1637)
(”充電期間”中に旦那さんの始めた畑・田んぼを手伝うようになったルキノさん)

知らず知らずのうちに囚われてしまう「常識」や「他人の目」。取材させていただいた多くの方が、その存在に気づき、そこから自ら離れる行動としてハタケトになっていました。畑が人に何かを与える以前に、その方が主体的に自分の人生を選択しているからこそ、それが人生の納得感を生み豊かな人生を形成している
これがひとつめの気づきでした。

自然も人間も同じいのち

別の視点で大きな学びとなったのは「いのち」の捉え方についてです。ハタケトの皆さんは自然も人間も同じいのちと考え、人間の都合通りにはいかない自然のこともおおらかに受け入れたり、日常的にいのちに感動するメンタリティを持っているようなのです。

”農業をしていると毎日すごい勢いで植物や生物の生死を目の当たりにします。例えば、タネを撒いて元気に育ったと思いきや、天候や環境の変化で全滅してしまうことなんて自然界ではよくあることです。だからこそ、ちゃんと育った時の感動も大きい。ダメになってしまった作物も土に還り次の作物の栄養になります。わたしたちはそうやって巡っているいのちから栄養を頂いて生きてるんです。その営み自体も感動的です。

「働く」は最高に気持ち良い!日常を愛せる仕事の選択【こばと農園 田島友里子】
(https://hataketo.com/1092)
(さいたま市で女性1人の農業を営むこばと農園田島友里子さん)

”人間だって山々の木々や花々だって野菜だって雑草だって、なんなら害虫だっておんなじこと。
すべてのいのちが自分に感じさせるものに、大きいも小さいもなくて、どこに共感するかというだけのことだったりもする。
畑のそばに在る暮らしは日々その感度を高め、ギトギトの現代社会に染まったわたしをあっさりと野生に戻した。”

畑の中であがる、「いのちの解像度」のおはなし(https://hataketo.com/569)
(畑の魅力伝道師として連載いただいている小池菜摘さんのコラムより)

もちろん一概には言えませんが、”平和”になった日本で「いのちの危険」に晒される機会は一昔前に比べて格段に少なくなっていると言えると思います。「いのち」がある種当たり前のとなった現代社会で、日常的に生死に触れる畑は、人間生活で忘れかけてしまう、いのちの尊さを思い出させてくれる場になっているそれが感謝、感動の気持ちをもたらし、豊かさを感じて生きることに結びついていることが分かりました。

深く思考する畑時間がおおらかなわたしを育ててくれる

最後は、畑で過ごす時間が本人の心に与える影響について。

畑での作業が自分との対話の時間となり、心身共にメンテナンスすることに繋がっています。
自分の深い部分まで思考を巡らせることで自分を見つめ直し、自分の考えている本質を見つめ直したり、整理したり。普通に働いていて忙しいと、そんな時間取れないかもしれません。そういう時間があることは畑の良さだなあ。

「はたらきすぎたら負け?!」ある農家が実践する幸せの範囲を超えない働き方(https://hataketo.com/730)
(栃木県でアスパラとお米の生産をする農家YOZE FARM後藤さん)

”パソコン屋から畑に入ったことで視野が広がったし、たとえちょっと嫌な人が相手でも「話は聞こうかな」という気持ちがもてるようになりました。それが土のもたらす効果なのかどうかはわかりませんが、土の上にいる時間が増えてから物事の捉え方が変わり、おだやかになりましたね。(中略)子どもたちが服が脱ぎっぱなしでも、お箸を揃えていなくても、ぼくが怒ることで彼らの将来を変えられるわけじゃない、と思うようになりました。子どもたちの将来のためを考えるなら、もっと長い時間軸で考えて、未来のためにエネルギーを使いたいな、と。だって農業でも、毎日1〜2mm枝が伸びたな〜、なんて考えないじゃないですか。”

-暮らすと働く。幸せの境界線vol.1-ママが働きやすいことを第一にした農園経営【絹島グラベル】(https://hataketo.com/218)
-暮らすと働く。幸せの境界線vol.1-ママが働きやすいことを第一にした農園経営【絹島グラベル】
(栃木県で健康経営を実践する絹島グラベルさん)

畑時間が、自己内省にもなりますし、いのちに関わる本質的な物事を選びとって判断していく心を鍛えているのだと感じました。

最近ではインターネット社会の中で、反射的に相手を傷つける言葉を投げてしまったり、物事の表層だけさらって議論するシーンが増えているように思います。

ずっと情報に晒されている環境では反射的に、感情的に動いてしまうのは仕方ないことなのかもしれない。

畑は心を鎮め、深く思考する時間になってくれるからこそ、突発的な感情のムラに左右されない自己を形成してくれる。だからこそ自分らしい選択し続けることができ、豊かに生きられるのではないかと考えさせられました。

以上、

  1. 他人の目や常識ではなく自分の人生を主体的に選択していること
  2. いのちの尊さを感じ、日頃から感謝・感動する心があること
  3. 深く思考し、感情のムラに左右されない自己形成ができていること

を今回「畑のそばの人が幸せそう」と感じる理由として言語化できました。

ただし、これはあくまでわたくしあべの気づき。きっと、もっと様々な分析ができると思います。

そこで、次回以降はハタケトを愛読してくださっている方々、さらにハタケトに関わってくれている運営メンバー、そして取材させていただいたハタケトの皆さんにお話を聞きし、わたしたちが1年かけて求めてきた「畑の周りにいる人はなんだか幸せそうな人が多いぞ?」に対する気づきを深めていけたらと思っています。

次回もお楽しみに!