このマガジンは「畑のそばに生きる様々な人」と「その暮らし」の紹介を通じて、皆さんと一緒に生き方の選択肢を再発掘していくメディアです。

岐阜県中津川(なかつがわ)市の写真家百姓で、Koike lab.代表の小池菜摘(こいけ なつみ)です。畑の魅力伝道師の中では現在唯一の農家。畑に生かされている人間として、なにをお伝えできるかなあなんてずっと考えながら、今日もいのちを愛でています。

ハタケト、今。

雨の合間の強烈な晴れに、夏を覚える梅雨。
相変わらず夜は冷えて、過ごしやすい日々が続いている。

そう思えば都会育ちの私も、随分雨に慣れたものだ。
地元では傘をささなくなってもう6年が経つ。
都会に出るとき、たまのお出かけで傘を持つけれど、やっぱり遮らないで濡れているぐらいがちょうどいいような気さえする。

(うちのキタアカリ。赤土で育つキタアカリは珍しいとか。)

昼間の気温がぐいっと上がった頃から、ぐいっと大きくなるじゃがいもさんたち。
Koike lab.では掘り立てをお届けするためにちょっとずつ掘る。
今はちょうど、真ん中ぐらい。

雑草パラダイスをうまくコントロールしながら、着々と秋野菜の収穫に向けて準備を進めているところ。
農を営むということは、半年先を生きること。

(2020年6月の定点観測)

テロワールと豊かさの話

コロナ禍、外へ出かけなくなって気づくのは、「テロワール」の素晴らしさだった。

外出自粛とはいえ、ここ田舎には都会から癒しを求めたひとの流入がそれなりにあった。このご時世に駐車場が他県ナンバーで埋め尽くされたスーパーに行く気にはなれなかったこともあって、地域の直売所だけで食料品を買い込んだ。

肉、卵、牛乳、野菜。

わたしの暮らす中津川市は、霊験あらたかな恵那山の麓。その麓の恵みで育ったいのちたちをいただく贅沢と美味しさったら、最高以外のなにものでもない。

テロワールは”土地”を意味するフランス語から派生した言葉。
生育地の地理や気候による特徴を意味するそうで、Terroirと綴るらしい。かっこいい。

同じ土・光・水・地形・寒暖差などによって農業技術が共通してくる。
それらは食べ物に土地特有の性格を与えるので、もちろん一緒に食べた時の相性もいいのだ。

(しらたき以外全部岐阜県産の肉じゃが)
(しらすとお肉以外全部恵那山麓産の夕食)
(近所のおじさんが近所の川で釣ってきたアマゴが最高だった話もしたい)

たいしたことをしなくても美味しく食べられるのがテロワールの力だ。
地場の味噌、地場の野菜と、美味しすぎる水道水。
それだけあればご馳走ができるわけで、外出自粛期間中だって全く問題なく毎日美味しいものを食べられたのは、この土地のもつ力を丸ごといただく豊かさを享受したからだ。

スーパーに行けば全国各地の美味しい野菜が手に入るけれど、同じ産地の野菜は一体どれだけあるかしら。
テロワールは土地に由来する。だったらきっと、あなたが生きて浴びる光や、生きて飲み干す水の下で育った野菜を食べるのがきっといい。

しかしながら昔はきっと当然であった地産地消が声高に叫ばれるほどに当たり前でなくなった現代に、きっとテロワールを求めても手に入らない地域がたくさんある。

テロワールを召し上がれ

そこで”恵那山の麓で育った野菜だけ”を集めてPRするプロジェクトを6月、はじめた。
この土地で育った野菜たちに「恵那山麓野菜」と共通の名前をつけて、一般化していこうというものだ。


(「持続可能な愛の下に」想いを込めて自分でロゴもつくる。恵那市資本の地域商社ジバスクラム恵那が協働してくださってる。ありがたい。)

こだわっているのは野菜を生産者から直接買い取ること。
生産者が野菜を育て続けられるだけの手取りを確保して、その上で売り方を考え、わたしも続けられるだけを乗せて販売価格にしている。
だから、生産者が必要なだけを、お客様が投資してくださるお金の中から渋ることなくお支払いすることができる。

収穫した野菜は生産者自ら我が家に納品して対価を受け取り、そのあとわたしが梱包して、翌日までに飲食店さんに卸したり、セットにして発送したり、マルシェで販売したりする。
超新鮮。
八百屋さんみたいなんだけど、わたし自身が農家で、うちの子たちももちろんお嫁に行かせたいから「うちの子の仲間を集めて色とりどりにしました!」という心持ち。
ちょっと愛の重さが尋常じゃないの、おわかりいただけるかしら。

6/19に発送した子たち
6/27に発送した子たち

毎週、自然の力で内容が変わる恵那山麓野菜セット
この地の一次産品を使っている加工品ももちろん、テロワールだ。

あなたの生きる場所のテロワールが手に入るひとはぜひそちらを。
難しければ恵那山麓野菜を堪能してみて。
明日の食の豊かさの基礎が、きっとできるはず。